「いいひと」はプレゼンが苦手?

ラブレター代筆が専門のように思われているが、それだけではなく、プレゼンテーションの指導も実はおこなっている。

おかげさまで、プレゼンテーションに関しても、ぱらぱらと依頼をいただくことがあるが、
どの依頼者にも共通して言えることがある。それは、どの依頼者も「いいひと」であること。総じて、物腰がやわらかく、表情穏やかで、発する言葉が丁寧なのだ。

「なんか、人前で話そうとすると緊張しちゃって・・・」
「強い言葉で言い切るのが苦手でして・・・」
「大きい声が出せないんです・・・」

それらの依頼者とお会いし、こういった発言を耳にするにつれ、やはりプレゼンはメンタルが成否を決めるんだな、とつくづく思う。

論理性がどうだとか、強弱がどうだとか、ストーリーがどうだとか、身振り手振りがどうだとか、プレゼンの本にはそんなことが書いてあるし、巷のプレゼンセミナーではそんなことを教えているようだし、僕自身のそんなことを言ったりするのだけれど、9割がたは心の問題だと、思う。

考えてみてほしい。大勢の前でいけしゃあしゃあと、自社の製品を売りつけるべく、もしくは、自分の考えを押し付けるべく、したり顔で、大きな声を出して、ジョブズに自身を投影しながら、うっとりと身振り手振りを交えつつ、しゃべるのだ。普通の神経ではできない。そう、「いいひと」では到底務まらないのだ。そこに、他者への配慮や、謙遜、自身への正当なる嫌悪感などは不要。あってはならない。

だから、正直なところ、プレゼンテーション指導は、そろそろ止めようかな、と思っている。「人前で話すことが苦手なんです・・・」と慎ましやかにつぶやく人に対して、ああしろ、こうしろ、というのは、なんだか気が進まない。その人の良さを無理矢理に矯正しているような心持になる。

 

とはいえ、それじゃ困るんだ!評価に影響するんだ!という方もいると思うので、参考までに、僕が実践しているメンタル面での対処法を、最後に記そうと思う。

●自信を持つ
自信を持て!といっても持てるものではないと思うが、自信を持つことは、とても大事。別に、自信を持つ対象が自信のプレゼン力や容姿、立ち居振る舞いなどである必要はない。運動神経でもいいし、料理がうまいことでもいい。アイドルや鉄道に対する知識が深いことでもいい。なんでもいい。とにかく、ひとつ、自分の自信の源となるものを見つけること。周りの人から疎まれていたとしても、親だけでも自分のことを愛してくれていれば生きていけるように、なにか、自信を持てるものがあれば、堂々と立てるはずだ。

●緊張は大したことではない、ことを知る
緊張で声が震えてしまう、と弱音を吐く人がいるが、周りからすると、どうでもいい話。緊張してるんだな、と思われるだけで、マイナスの評価にはならない。むしろ、真剣に物事に対峙していればおのずと緊張するわけで、緊張しない方がどうかしている。

●緊張と息切れをごちゃ混ぜにする
たとえば、マラソン選手で、走っている最中に、「うわぁ、すっごいたくさんの人が私のこと見てるー、緊張するぅ」という選手などいるだろうか。いない。疲労と息切れで、それどころではない。このことはプレゼンにも生かせると思う。実際に過去、僕がやっていのだが、プレゼンをする前に、トイレかどこかで1分間、その場で駆け足をしてみてほしい。心臓がばくばくし、息切れがすると、緊張など吹き飛ぶ。疲労による心臓音なのか緊張によるそれなのか、わけがわからなくなる。

 

人によって緊張のほぐし方や、心の調整の仕方は異なると思うが、僕は、こんなことを考えたり、実践したりしている。色々と試しながら、自分なりの調整法を見つけることをオススメする。

 

最後に。繰り返しになるけれど、別に、プレゼンが上手にできなくたって気にする必要はない。流暢に得意げに話す人よりも、声を震わせながら、訥々と話す人の方が、人間としては随分と上等だと、僕は、思っている。

 

 

小林 慎太郎

投稿者: 小林 慎太郎

1979 年東京都生まれ。立教大学社会学部卒。IT企業にて役員を務めるかたわら、自身の言葉や文字で想いを伝えることに対して苦手意識を持っている人を支援するため、ラブレター代筆、プレゼンテーション指導、スピーチライティングなどをサービスとして提供する<デンシンワークス>(dsworks.jp)を運営。 <著書>『ラブレターを代筆する日々を過ごす「僕」と、依頼をするどこかの「誰か」の話。』(インプレス社)