見ず知らずの人に向けてラブレターを書く方法

「見ず知らずの人に向けてどうやって書くんですか?」

僕がラブレター代筆屋をしていることを告げると、よくこう訊かれることがある。その疑問はもっともだ。なぜなら、代筆を依頼してきた依頼者とは会うが、手紙を渡すお相手と僕が会うことはない。「はじめまして、ラブレターを代筆させていただく小林です」などと挨拶することはない。ラブレター代筆屋は日陰者。表に出ることはない。

お相手の方の容姿や、性格、趣味などは依頼者にヒアリングをさせてもらうので、ぼんやりとしたイメージはあるが、それでも、気持ちを込めてラブレターを書けるほど明確なものではない。いや、別にどういう相手かわからなくても、書けるでしょ?と思う人がいるかもしれない。はっきりと言う。それはムリだ。

試しに書いてみてほしい。顔も声も名前も何も知らない人に向けて。少しは書き進めるかもしれないが、途中でペンが止まるはずだ。もし書ききったとしても、想いを水で薄めたような、ひどくぼんやりとした内容の仕上がりになっていることだろう。


では、そんな状況を打開するために、僕が何をしているのか?
それは、お相手の方の人生を、「物語にしてまとめる」ということ。

依頼者からヒアリングした内容を下地にはしているので、100%虚構ではないものの、80%くらいは虚構、フィクションだ。幼少時から大人になるまでの人生を、勝手に想像して、A4用紙1枚程度にまとめる。これが、文面を考える前に、まず僕がしていること。この作業をすることで、僕の中でお相手に対する像が明確になり、感情を込めて書けるようになる。

説明だけではわからないと思うので、サンプルを提示しようと思う。
実際の依頼で作成をしたものは見せることができないため、『アウト×デラックス』出演時に作成したものをお見せする。

『アウト×デラックス』の出演者の一人に、柿沼さんという方がいる。ご存知だろうか?ネコ耳をつけて、「にゃ~」と鳴かれている女性だ(よくわからないか・・・)。
柿沼さんに向けてラブレターを書くこととなり、その前段として作成をした柿沼さんの人生(フィクション)が↓だ。

※柿沼さん人生

現在だけではなく、生い立ちから学生時代まで、なるべく細かく書くようにしている。先ほど、80%くらいは虚構と書いたが、柿沼さんにおいては事前情報がまったくなかったため、95%は虚構だ。

ちなみに、この柿沼さんの虚構の人生をもとに書いたラブレターが↓になる。

※柿沼さん宛ラブレター

ご覧頂くとわかるように、ラブレターの内容と虚構の物語はまったくリンクしない。それでいい。物語を作るのは、あくまでも気持ちを乗せるための手段なのだから。

この方法は、ラブレターだけではなく、会社において提案資料を作成する時などにも使えるのではないかと思っている。ここまで詳細なものでなくとも、提案する相手の人となりを整理しておくことで、資料内のメッセージの熱量や内容も変ってくると思う。

是非、お試しあれ。

小林 慎太郎

投稿者: 小林 慎太郎

1979 年東京都生まれ。立教大学社会学部卒。IT企業にて役員を務めるかたわら、自身の言葉や文字で想いを伝えることに対して苦手意識を持っている人を支援するため、ラブレター代筆、プレゼンテーション指導、スピーチライティングなどをサービスとして提供する<デンシンワークス>(dsworks.jp)を運営。 <著書>『ラブレターを代筆する日々を過ごす「僕」と、依頼をするどこかの「誰か」の話。』(インプレス社)