世の中は、意外と愛に満ちている

ラブレター代筆という仕事をはじめてから、ひとつ思ったことがある。それは、僕が考えていたよりも、世の中は意外と愛に満ちているということ。

僕に依頼をしてくる依頼者は、老若男女、様々な人がいる。また、名のしれた企業の重役の方、モデルをしている女性など、職業も様々。一見スマートな方でも、「告白をして大丈夫かな…」「どうやって想いを伝えればいいのだろう…」と、あれこれと思い悩まれていたりする。

学生時分ならまだしも、社会人になると、他者の恋愛話を聞く機会はほとんどなくなる。その代わり、愛からは対極にあるような、残忍な事件、事故、そして、世界で起こる悲劇的な出来事など、学生時分には気にならなかったような事柄に心を痛めるようになる。

おのずと、この世に愛など存在しないのではないだろうか、と憂慮するようになる。僕も、そうだった。

でも、ラブレター代筆の仕事をはじめ、愛にまつわる相談を聞き、愛の言葉を手紙に綴る機会を得ることで、考え方は変わってきた。この世は意外と愛に溢れ、誰かを想う人、誰かに想われる人で満ちているのだと痛感した。

この仕事は、収益面で言えば何らプラスはなく、尊敬や名声を得られるわけではない。むしろ、嘲笑される。

それでも、僕はこの仕事が気に入っている。愛を感じられるから。
RADWIMPSではないが、愛にできることはまだあると、信じられるから。

小林 慎太郎

投稿者: 小林 慎太郎

1979 年東京都生まれ。立教大学社会学部卒。IT企業にて役員を務めるかたわら、自身の言葉や文字で想いを伝えることに対して苦手意識を持っている人を支援するため、ラブレター代筆、プレゼンテーション指導、スピーチライティングなどをサービスとして提供する<デンシンワークス>(dsworks.jp)を運営。 <著書>『ラブレターを代筆する日々を過ごす「僕」と、依頼をするどこかの「誰か」の話。』(インプレス社)